結婚の条件《オオカミ秘書の恋愛指南》

自分は後から乗り込み、ボタンを操作。



「ありがとう…洋貴さん」



「秘書として当然のコトをしているだけです。礼は無用…一つ…言っておきます…社内では栗原と呼んで下さい…社長」


口振りまで違っている。
仕事モードの洋貴さんはすっごくカッコイイ・・・



「はい、分かりました…栗原さん」


プロポーズした手前、悪いけど…
社長と秘書の関係だけでいられないかな?



エレベーターは直で幹部クラスの部屋があるフロアに到着。



エレベーターホールには祖父の美術コレクションが飾られていた。


洋貴さんは壁に飾られたバッホの絵の前で立ち止まる。


「この抽象的な絵は…バッホですね」


「祖父のコレクションの一つです…。値段は分かりませんが…かなりの値だと思います」