奏斗は振り向きもしないで、あたしの手首を掴む手を少しだけゆるめた。 「奏斗、昨日は心配かけてごめん。でも、あの人と居たのには訳があって…」 「訳?そんなの知らねえよ」 奏斗は怒りに満ちた、震える声でそう言い放ち、振り返ってあたしに鋭い視線を送る。 「どれだけ…どれだけ心配したと思ってんだよ。人の気も知らねーで、知らねえ男と一晩過ごしやがって」 奏斗はそう言うと、あたしの手首をパッと離して1人で歩き始めた。