「…………歩夢……?」 「沙良っ……おはよ」 あたしが目を開けると奏斗が優しい笑顔をあたしに向けた。 「………おっ……おはよ」 なんだか曖昧に言ってしまった。 なんか、夢のせいでよく分からないモヤモヤした感情が胸を占めていた。 なんだろう……… あたし、何か忘れてる。 奏斗はなにも聞かずに、ただ 「帰る用意だけはしておけよ」 とだけあたしに言った。