「えっ!?」 「お前は、これに躓いたらしいぞ。ったく、持ち主がかなり迷惑な奴なのに、物までそうなのかよ」 櫂也は犬のように、首を振って、髪の毛の水を落とした。 「失礼ね・・・。でもありがとう」 「あぁ、サブッ。家に帰ろう」 櫂也は噴水から出ると、地面に置いてあったブレザーを、今出てきたばかりの美桜に投げた。 「冷えるから着てろ。」 「えっ!?でも・・・。」 「俺、元貧乏人だから、大丈夫。貧乏人は強いんだ」 櫂也はそう言うと、鞄を持って、門に向って歩き出していた。