井上は美桜のドレスを掴んだ。



「井上。気持ちは分かるよ・・・でも私は、大道寺の人間というのは、変わりません。庶民的なことをしようと思っても、やっぱりお嬢様なの。だから、私は東野櫂也さんを探して、想いを伝えるという事は、絶対に許されない。出来るなら結ばれたい。でも、自覚があるから、伝えない苦しみを代償に味わってる。恋でする、焦がれるような想いは出来ないけれど、伝えられない苦しさは、私が弱い人間と示す・・・いいのこのまんまで・・・上手に言えなくてごめんね?」





「何で、お嬢様が謝るのですか?」





「どうしてだろう。もう、諦めちゃったのかな?」





美桜はそう言うと、舌を出して、ウインクした。




「行って来るね。」




「お嬢様、笑っておりません・・・よ?」




「駄目、そこ突っ込まないで・・・・」