美桜は、笑顔で鏡の前に立った。



「ねぇ。似合う?」



「似合いますよ。とっても」




「もう!何でそんなに暗いの?ねぇ、どうして?」




美桜は頬を膨らませて、井上に詰め寄った。




「お嬢様は、櫂也さまがお好きなのに、もういいなんて・・・悲しすぎるじゃないですかぁ・・・」



涙を零しながらそう言う井上。




「井上、泣かないで。本当なら、この想いは気づいちゃいけなかったの。ねぇ?大丈夫だから、凄い年上のおっさんだったら、断るし」



「しかし、ある程度カッコよかったら、決めてしまうんでしょう?可笑しいですよ?美桜さまは変わりました。昔より全然いいです。けど、素直になっておりません!美桜さま。どうしてですか?」