美桜は桜羅を無視して、長く、でかい階段を上り始める。



「美桜!」


「私は、大道寺と皇堂の血が流れてること、自覚してるから」




美桜は一回兄のほうへ振り返ってそう言うと、階段をまた上り始めた。



「美桜!今日は、皇堂主催のパーティーだからな」


「知ってる!」



美桜の声の大きさに、桜羅は耳を塞いだ。



「ったくあいつは・・・あぁ、今日のパーティーでやっと、西園寺の養子、養女が見れるな・・・楽しみだ」



美桜は、自分の部屋まで早歩き。


大好きな兄だけど、御曹司や金持ちに無頓着なのが、美桜的には気に食わなかった。



だから、桜羅は『坊ちゃん』なんて呼ばれていない。



でも美桜は自覚をしっかり持っているため、執事や手伝いに『お嬢様』と言わせていた。