息苦しそうに呼吸をする美桜。 「嫌いなくせに、触らないで」 熱のせいなのか、感情的なものなのか、美桜には分からないが、はっきりと分かることがある。 『泣きそう・・・』だということが。 「嫌いだよ。お嬢様なんか、金持ちなんか」 「なら、私みたいな人間、相手にしなきゃいいでしょう?」 「しゃーねぇだろう。お前を変える。それがお前の兄さんと、皇堂莱華と結んだ条件なんだから」 ――パシッーン 櫂也の頬に、鋭い痛みが走った。