「春也ーーーー


はやくうちにいこォーーーよォーーーーー」




うっさい声を出す女


マジでウゼー



「しゅんやくーーん



無視しないでーーー」



あーーーー


甘ったるい声出せば何でも許されんのかよ



ただ

こいつは俺とやりたいだけだろ



「あーー


分かったからおまえん家連れてけ」




「やったーーー」



そう言って駅へ行く


俺も落ちたもんだな


こんなやつと簡単にやるなんて



ぼーっと歩いてると一角が輝いて見えた






弥生だ



なんか元気がなさそうで心配だ


「ごめん


俺用事あるの忘れてた


行くわ」




「えーー

待ってよーーー」





俺は無視したまま歩いた





「おーーーい

弥生じゃん?


……そんな暗い顔して何があったんだよ




もしかしてあのすず……」



言いかけて弥生はすぐにさえぎった



「うるさい!!

いくらハルだからってゆるさない」



そう言って弥生は俺を軽くにらんだ



俺は知っていた



弥生はまだあの鈴木壱ってやつを引きずっているのを



でもまたあいつの心の中に新しく大切な人が出来たのを



それに戸惑っているのも




あいつ分かりやすいから





でも


あいつは自分のことが分からなくて


苦労してる



心と体がついて行かないのだろう





だから


心配だ





「そんな怖い声出すなよ

まーーーー何かあったらすぐ俺に言えよ?


俺はお前のにーちゃんみたいなもんだしな」



そう言って俺は弥生の頭を撫でた



こいつの頭撫で心地いんだよな



なごりおしいけどそろそろ帰るか


そう思って俺は帰ろうとした



「待って?」


弥生のでっかい声が俺の耳をとらえた