お月様の飼い主

あたしは彼の足下の毛布をめくる。

貴方を起こさないようにそっと。
丁寧にハケを滑らせて。
貴方が急に動いたりしないか、
どきどきしながら。



……おそろい………




左足の薬指。
一番塗りやすそうな親指より、
やっぱりこっちかなって。

このピンクはあたしの心だ。

少しでも、貴方の心に届けばいい。

貴方の爪がきちんと乾いたのを確認して、
貴方の腕の中に潜り込む。
そして、すぐに抱き寄せられた胸へと、
そっと、口づけた……。