「この本はね、その、こういう話が好きな人が見る本なんだ」


「ぇ?じゃあ和也くんはこの本が」


「そんな訳ないじゃん」


私が全部言う前に彼は答えた


「じゃあこの本は?」


「友達が見舞いに持ってきやがった」


...そっか、お友達かぁ

そうだよね、和也くんがこんなメニアックな本読む訳ないか


「...お友達、お見舞いにくるんだ?」


「あぁ。...別に来てって頼んでる訳でもねーのに来るんだ、あいつら」


そんな言葉とは裏腹に、和也くんは今まで見たことのないような満面の笑みで言った


私の胸の鼓動は、何故か急激に心拍数をあげた


どくんどくん、と波打つ中に、1つの痛みが生まれた


「....?」


胸がちくりの痛んだのは、気のせいだったのだろうか