次の日も昨日と同じ時間、昨日と同じように部屋を出た

昨日は大してすることがなくてあの時間に行っただけだけれど、どっちにしろ暇だからどうってことなかった

エレベーターには誰も乗っていなくて、少しほっとする

すぅ、っと不思議な浮遊感とともに、エレベーターが動く


《チーン》


ここから短い階段を歩いた先に屋上へと続く扉がある

私は走り出したい気持ちを必死に抑え、慎重にその階段を上る

ドアを開けたその先に広がる青空は、昨日と同じようで違い青

その大きな青空をバックに、彼はすでにそこに座っていた

さらさらの髪を風で揺らして。太陽の光にきらきらと反射する


「も、望月くん!!」


私は望月くんの名前を呼ぶ行為に少し照れながらも、ちゃんと大きな声を出して彼を呼んだ


私は昨日と同じ、彼の隣に腰かけた


「雪乃、携帯持ってる?」


「ぇ?うん、持ってるよ」


私が患者用の服のポケットをごそごそと漁って携帯を取り出すと、彼もポケットから同じように携帯を出した

「赤外線通信、しよ?」


小首を傾げて言われれば、断ることなんてできるわけがない

私がはにかみながら頷くと、望月くんはありがとう、と言って笑った

彼にやり方を教わって、無事メアド交換をすることができた


「..じゃあこれで、屋上にいないときも電話とかメールで会話できるね」


「そうだね」


望月くんが笑うと、私まで笑顔になる

望月くんと一緒にいて、楽しいと思える


ただの暇潰しの私の日課は

私の楽しみへと昇進した