それから彼といろんな話をした

彼は私の1つ年上の高校二年生で、この病院には調子が悪い時に稀入院しているんだそうだ

ちなみに、望月くんの高校は私と同じ学校なんだそうだ


「あ、ごめん、オレもう行かなきゃ」


今日検診なんだ、と彼は言った


「雪乃、毎日ここにくるの?」


「うん、毎日」


望月くんは立ちあがって、私を見下ろす


「じゃあまた明日、同じ時間に此処で会おう?」

階段へと続く扉へと足を運びながら、望月くんは言う

彼が扉の向こうへ消えそうになる

扉がゆっくり閉まろうとする

私はとっさに口を開いた


「も、望月くん!!」


ぴたりと止まるドア

消えない背中

再び合う瞳


言わなきゃ、言うんだ


「あ、の..えっと」


望月くんは私の言葉を待つように、何も言わない


「、また、明日ね!」


彼はふわりと笑って、


「また明日」



今度こそ閉まるドア

消える背中

合わない瞳

作られた沈黙


私は彼が消えたドアを、しばらくじっと見つめていた