「失礼しまーす」
緊張で少し高まった声を
必死に搾り出して
進路相談室の扉を開いた。
「おー。こっち来て」
先生は右手でタバコを蒸しながら
左手で手招きをする。
本当にこんなんで教師なのか?と
聞きたくなるけど
先生はこう見えて
生徒からの人気は抜群。
友達感覚で話せるところがいいって
みんな言ってるし、
わたしもそう思う。
「野瀬~、お前ね、分かってる?」
「えっ…はい…」
先生は涼しい目をしながら
わたしを責める。
「お前、いくつだか分かってる?
高3だかんね、卒業手前だよ」
「だってまだ春じゃないですか~」
「馬鹿。」
先生はわたしの頭を
ペコッと叩いた。
