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千秋、健也へ

これを読んでいるということは、
私は死んでいるんだろうね。

あの日、ボスを殺したのは私。
父さんや母さんを殺したのはボスだった。
それがわかったんだ。
ボスも私を殺すつもりだった。
殺される前に、この手で…
この手でボスの命を奪う。
そう思って、銃の引き金を引いた。

父さんや母さんの代わりに
私が死んでいれば、こんなことには
ならなかったのかな…。
私は普通のままあの世に行けたかな。
父さんや母さんが殺されなければ、
私は普通の人になれてたかな。

いつから理性を失ったんだろうね。
普通に考えれば、殺人は何があっても
してはいけないことだって、
わかってただろうに。
でも、犯した罪は罪。
数々の人を殺したのは紛れもなく、
この私なんだから。

少年院にいた間、ずっと私は
自分の罪を償えずにいた。
どんなに勤勉でも、どんなに優秀でも
罪を償えているわけじゃない。
少年院にいる間にも償おうとした。
でも教官に見つかって、
償うことが出来なかった。
だから、少年院を出た今、
やっと償えるよ。

千秋、健也、あんた達に会えてよかった。
ほんとによかったよ。
お見舞いに来てくれたとき、嬉しかったよ。
「あぁ…ひとりじゃないんだ」って思えたんだ。






ありがとう…
先に地獄で待ってるね。



菜月

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