はぁ……と、あたしがため息を吐くと、柚野さんは満足したのかクスクスと笑って「失礼しました」と謝った。



「何のためにここへ来たかと申しますと……たまには親孝行、そして明様唯一の幼馴染を大切にするのもいいかと思いまして」


「親孝行……」



確かに。


結婚してから慣れない主婦業で慌ただしかったのと、実家が近いこともあって、甘えることも多かった。


哲太には昔からお世話になりっぱなしだし……そのお母さんにももちろんお世話になってる。


正直、柚野さんがまたあたし達をいじめて楽しんでる気がしないでもないけど……。



「聞けば佐原社長も丁度仕事が落ち着いて、哲太くんもお時間があるとのことでしたので。

哲太くん一人では……と思い、お母様もお連れしました。

そして皆様を、私がこちらまでご案内致しました」


「親孝行も、友達を大切にするのも悪くない……わかった。今回の行動は許してやるよ」


「ありがとうございます」



聖の言葉に、柚野さんは深々と頭を下げた。