「傷は大丈夫。見えないように生え際にしたから。約束は守った。その印が証だ。小雪、また会いに行くよ。じゃあね」


「待って!……貴方の名前は」


どうしてこの時、その質問をしたのか自分でも分からなかった。

聞きたいことはたくさんあったはずなのにー……。

貴方は吸血鬼ー?

「カイレンー…もっとも、日本では魁蓮、だけどな」


それだけ言うと、男はその場で姿を消した。




"魁蓮"という名と、黒い薔薇の花びらを残してー。