「ー小雪が忘れても俺は憶えてる。だから君はー……」

"早く思い出してほしい"
と呟いて、私の方をつかんで引き寄せる。


「ちょっ……やめてください!」


私が押し返そうとすると、さらに力を入れて逃げられないようにする男の人。

凄い力ー……。

諦めて、抱き締められたままになっていると、男の人は私の首に顔を埋めた。

男の人の前髪が首にあたってくすぐったい。


「あ、あの、そろそろ……――っ!ったぁ……」


首に針が刺さったような痛み。ーいや、針ではない。獣の牙が肉をえぐっているような。