低い男の子の声が聞こえたかと思うとその男の子に手を引かれた。
「大丈夫か?」
……え。
男の子たちに向けて言った低い声とは違う声にあたしはもしかして…と思った。
桜井くん?
そんな望みを込めながら顔を上に向けると、あたしの手を握っている桜井くんがいた。
「……さくらい、くん」
呟くぐらいの小さな声でそう言うと、桜井くんはあたしの手をよりいっそう握りしめて男の子たちに目を向けた。
「なんだよアンタ」
男の子たちは不機嫌そうな声でそう言う。
「俺の大事な子に声かけないでくれる?」
桜井くんから出ている声とは思えないくらい低い声。
男の子たちは「チッ」と舌打ちをすると「彼氏いたのかよ」なんて言葉を残していなくなった。

