結局、家に送ってもらうまで桜井くんと話をすることはなかった。




桜井くんも自分から話をするみたいなことはしなかった。


それは、さっきのことがあるからなの?




桜井くんはあたしにキスする前に謝ってきたから。


だから結局なにもなかった。






「さ、桜井くん。ありがとう」


こんな状況でも送ってもらったことに対してのお礼を言った。



「ん、ああ。また、な」



遠ざかっていくその姿をしばらく見ると家の中に入った。