「わ、わるい!」 ……え。 パチッと目を開けると、桜井くんはあたしの肩に両手を置いて顔を赤くしていた。 桜井……くん? 目をぱちくりさせながら不思議に思っていると…… 「悪い。いまのは忘れて」 赤くなった顔に片手を覆いながらそう言って桜井くんは謝った。 ……なんで? あたしは呆然としながら桜井くんを見ていた。 「行こう」 まだ赤い顔であたしの手を握った桜井くんを見ながら複雑な気持ちになった。