「行ったな」 頭上からそう言った桜井くんの声が聞こえた。 未だに桜井くんの腕の中にいるあたしはドキドキがおさまらない。 桜井くんはあたしを守るようにギュっと抱きしめていて。 目をギュと閉じた。 「崎田さん大丈夫か?」 抱きしめられたままあたしに降ってきた桜井くんの声に顔を上げると…… 「!!」 桜井くんのアップの顔があたしの目に移った。 桜井くんもあたしもお互いにあまりに近くにある顔にびっくりした。 ───ドキン ドキン ……って胸の鼓動がはやく鳴っている気がする。