「そろそろ帰ろうか」
ブランコから立ち上がった桜井くんはそう言うと、あたしを見て付け足すように口を開いた。
「帰るの遅くなると、親が心配するだろ?」
確かに辺りはオレンジ色に染まっていた。
コクンと頷いたあたしが立ち上がるのを見て、桜井くんは歩きだした。
その後を追って桜井くんの後ろを歩く。
「言ってた通り崎田さんの家まで送るから、心配するなよ?」
振り返ってあたしにそう言った桜井くんの笑顔になんだかドキドキした。
「崎田さんは女の子なんだからひとりじゃ危ない」
───ドキン
あれ?
なんだろう。なんだから胸がドキドキするよ。
「手……繋ぐか?」
そう言ってあたしに差し出された腕。
その桜井くんの言葉に、差し出された手をおずおずと握りながら胸がドキンと鳴ったのが分かった───。