それに全然…手をはなす気配がない。
結局…桜井くんに手を握られたまま駅員に定期券を見せることになった。
い、いつまで握ってるの…。
それに……なんであたしも素直に手引かれてるんだろう。
ゴン
「ぃた…」
ぼぉーっと考えながら歩いていたからか、桜井くんが立ち止まった時、背中に顔をぶつけてしまった。
ああ。
考えごとしながら歩いちゃいけない…。
いつの間に外に出ていた。
横にはベンチがあってその横には自動販売機がある。
「おい。大丈夫か?」
「え?」
ふと顔を上げると、あまりに間近に桜井くんの顔があった。
「…っ!!」
ち…ち…近いよ!?

