「梨子。梨子もさ俺の名前呼んでくれる?」


背中に回されていた桜井くんの手があたしの肩に置かれると、桜井くんはあたしにそう言った。




「梨子にも呼んでもらいたいんだ。広樹って…さ」


そして、優しくハニかんだような笑顔を見せながら続けるように言った言葉に、あたしも桜井くんの名前を呼ぶたいって思った。




「えっと……」

「ん?」


優しい笑顔をあたしに向ける桜井くんにドキドキしながら口を開く。



「ひ……」


ドキドキ鳴る胸。


だって、好きな人の名前を口にするんだもん。




「っ。─ろ──‥ん。」



ギュッと目を閉じたあと桜井くんを見上げる。


そして……。



「広樹くん…っ」