真剣な顔をしたままあたしを見ていた桜井くんが微笑む。
あたしがそんな桜井くんをびっくりしながら見ていると……。
「だから…呼んでもいい?梨子って……」
桜井くんがあたしの名前を呼んでくれた。
その言葉を聞いたときあたしの目から再び涙が零れた。
「梨子…俺は梨子が好きだから」
「桜井く…っ」
泣いているあたしをギュッとしながら桜井くんはそう言ってくれる。
「梨子」
桜井くんが耳元で呼んでくれるあたしの名前に嬉しさが募る。
「桜井く。桜井くん…」
桜井くんの胸に顔を埋めて何度も言う。
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