「梨子そんなにムキにならなくても…」

「ムキになんて…なって…ないよ?」

「そう?なら全然いいんだけどね」




横断歩道に差し掛かった時、信号が赤だったので立ち止まることになった。






その時───





「玲!」




後方から聞こえてきた玲を呼ぶその声に、あたしはその人が誰だか分かった。




「勇くん!」


玲の嬉しそうな声。



その人は……玲の彼氏の勇樹(ユウキ)くんだから。


その勇樹くんのことを玲は勇くんと呼んでいる。



本当に好きなんだなぁ。





なんてことを思っていると、信号が青になり玲の彼氏は行ってしまった。