「あの、女の子…亜依って言うの?」
ち、違う!!
あたしが聞きたいのは、あの子の名前なんかじゃないのに…。
「ああ。亜依だけど、どうしたんだ?」
あたしがそんなこと聞くから、桜井くんまたあの女の子のこと名前で……っ。
だめだめ!!
いまは泣いちゃだめ。
「さ───ん、が─────…こと──…ぇ、で───の────だよ…ね…」
「…崎田さん?」
あたしが言った言葉は…所々、小さい声になったみたいで桜井くんには聞こえてないみたいだった。
「っ…桜井くんが、女の子のこと名前で……呼んだの…っ、はじめて…だよ、ね」

