「本当に何かあるんだったら言ってほしい。俺が泣かせてるとしたら、俺は自分が許せないから」



桜井くん…。

桜井くんがこんな風に言ってくれてるんだから、言わなくちゃだめだよね。


あたしはコクンって頷いた。




「あたし…」



ギュッて膝の上のスカートを握りしめる。




「き、昨日の……女の子…」

「昨日?…亜依のことか?」




───ズキン



また。


桜井くんがあの子の名前を呼ぶとズキンって…っ。



でもいまは、それを聞かなくちゃいけない時だから…。


涙を流しちゃだめ。



いま泣いたら聞けなくなっちゃいそうだもん。