ふたりがなにを話しているのかも、頭に入ってこない。


あたしって……桜井くんの彼女なんだよね?



だって…。



桜井くんあたしに好きって言ってくれて、あたしも好きって言って両想いだって分かったんだもん。


そ、それに…き、キスだって……あんなにいっぱい。



桜井くんあたしのこと大事そうに抱きしめてくれた。




ギュッと握りあっている手を、絡まっている指で少しだけ強く握った。


すると桜井くんが不思議そうにあたしに目を向けると…




「亜依もう帰れ」



その女の子にそう言った。