唇が離れて照れているあたしに優しい笑みを見せたあと、ベンチに置いてあるあたしの鞄を取った。
「そろそろ帰ろう」
その鞄をあたしに渡しながらそう言った桜井くん。
「もう…夕方だからな。それに明日も……いや、これからはずっと一緒にいられるんだよな」
一緒にいられる。…そう言った桜井くんの言葉になんだか恥ずかしさを感じた。
「崎田さん。手…」
そう言ってあたしに差し出してくる桜井くんの手。
この前…来たときと一緒。
あの時……あたしは桜井くんが差し出してきた手をぎゅって握ったんだよね。
差し出されてる手と桜井くんを交互に見ると、あたしに微笑みかけてくれた。
どきんっ

