ドキドキ 「えっと……」 どこを向いていいか分からないあたしの視線は膝の上の鞄に向かっている。 桜井くんに渡さなくちゃ!! 「あ、あのね…あたし桜井くんに渡したいものがあるの!」 ドキドキしながらギュっと目を瞑ってそう言った。 「だ、だから……」 鞄を開けて中からラッピングされたものを手に取るとベンチから立ち上がった。 あたしが急に立ち上がったからびっくりしちゃったのか、桜井くんもベンチから立ち上がってしまった。 ギュっと胸の前でそれを手に持ってドキドキしながら桜井くんに目を向けた。