ケーキ屋さんを出ると桜井くんに握られた手に視線を落とした。



さっき…お店を出る前。

『出ようか』そう言った桜井くんの声にあたしが席を立つと、優しく手を握りしめてくれた。





『仲良いねあのふたり』


あたしたちのことを『カップル』だと言っていた人が、手を繋いだ桜井くんとあたしを見てそう言ってた。



仲が良い。


やっぱりあたしたちは周りの人たちには恋人同士に見えるんだ。




少し前……周りの人たちにそう思われているのが恥ずかしいって思っていた。



その恥ずかしいっていうのはいまも変わらないけど、でも前は思わなかった嬉しい気持ちがある。