──桜井広樹(サクライ ヒロキ)くん。
目の前にいる桜井くんに、あたしとぶつかってしまった男の子は桜井くんだったんだって分かった。
その事実にびっくりし過ぎて、ただ…目の前にいる桜井くんをボォーっと見ることしか出来ない。
あたしきっと変な顔になっちゃってるかも…。
「思い出した?俺のこと」
「う…うん」
でも…まさかこんなところで中学の時の同級生…桜井くんと再会してしまうなんて思ってもみなかった。
───グイ
「……!」
急に桜井くんに手を掴まれびっくりする。
な、なに!?
手を掴んだまま歩きだす桜井くんに、あたしはひとりで困惑することしか出来ない。
だけど…急に立ち止まると掴まれた手を桜井くんは放した。
…え。
本当になに?
桜井くんの行動の意味
が分からなくてクエスチョンマークでいっぱいになる。
「崎田さん」
「!」
だから、桜井くんに名前を呼ばれただけなのにびっくりした。