電車の座席に座りながらそんなことを考えていると、電車のスピードが落ちてきた。
見慣れた景色が窓から見えて、地元の駅についたことが分かった。
鞄を手に取り電車を下りていく。
駅員に定期券を見せて、それをしまおうとした時───
…───ドン
人とぶつかって持っていた定期入れを落としてしまった。
その定期入れはぶつかってしまった人の足下に落ちてしまい、あたしが拾う前にその人が拾ってしまった。
そのぶつかってしまった人は男の子だった。
それも制服を来ているからあたしと同じ学生。
「わりぃ……」
そう言った声が頭上から聞こえてきてあたしに定期入れを差し出してきた。
それを受け取るとき指が少し触れてしまってびっくりした。
男の子と指が触れあうなんてこと滅多にないのに…。
少しだけ顔を上げて男の子を見る。
「ぁりがとうござい……」
「崎田さんだろ?」
そうお礼を言おうとした時……それを遮るように男の子があたしの名前を呼んだ。
あたしがもう一度男の子の顔を見ると……
「俺のこと覚えてねぇ?」
そう言ってきた。
えっと……。
男の子の顔を真剣に見てみると記憶の中にある顔と重なった。
それは。
あたしが中学3年生の時のクラスメイトだった………
───桜井くんだったから。

