「で、結局」
あみちゃんを見送った後、私は目の前の少年を振り返った。
「あなたは誰なの?」
「俺か?俺は通りすがりの…」
「冗談を聞く気はないよ」
「ちぇ…」
そもそも、この少年との出会いはどこか異質に感じていた。
いきなり、霊感があるのか?なんて聞かれたら誰だって不審がるだろう。
「わーったわーった!」
参りましたと手を上にあげて言う。
「俺の名前は八島 紅(ヤジマ コウ)あの神社の跡取りです」
「そういってたわね。でも何でいきなり霊感なんて話しをしてきたの?」
「そりゃ、生きてる人間から、死者の気配がすれば気になるだろ?」
「いや、分からないから」
何を当たり前そうに言っているのだこの人は。
「まぁ…したんだよ。お前から。だからすぐに分かったんだ。取り憑かれてるなって」
「そうなの?」
でも少し語弊がある。あみちゃんは、取り憑いていたのではなく。私に助けを求めたに過ぎない。
「霊感あるなら、よくあるパターンだろうけど、お前は違うみたいだからな」
「よくあるパターン?」
「まぁ、とにかく。今日は帰れ、もう夜だ」
紅が空を見上げたのでつられて上を見る。
もう夜だった。