日が傾き始めた頃。
到着した場所は、少しひらけた所にある高台だった。
高台と言っても、目の前にあるのは崖なので少しひやっとする。だけど、目の前に広がる町の景色はとても綺麗だった。満開の八重桜が町をピンク色に染め上げていた。
「きれー!」
「きれいでしょ?」
「うん、こんなに素敵な景色を見せてくれてありがとう!」
「よかった」
あみちゃんは、嬉しそうに目を細めた。
「ここが、あみの思い出の場所なの」
「へー、どんな思い出なの?」
なにも考えずに聞いてみて、少し疑問が浮かんだ。
思い出の場所。
確かにこんなに綺麗な場所だけど、目の前の崖はどことなく恐怖を感じる場所だ。
「あみね…」
あみちゃんの声がわずかに低くなった。
なにかが私の中で警鐘を鳴らしていた。
昨日会ったばかりの私を誘ってきたあみちゃん。
まだ幼いあみちゃん。
二日連続で同じ服。
山道を歩いたのに汚れていない浴衣と下駄。
そういう類には詳しくも特殊な力もないけれど。
「ここでね」
…………この子は。



