「…瑠依は最初右の脇腹を刺されたんです。」
「男は…刺さった包丁を抜き、また苦しんでいる瑠依を刺そうとしたんです…」
「俺は痛みに顔を歪めていた、瑠依に被さり背中を刺されました…」
そして健堵は、おもむろに服を脱ぎ俺に背中の傷を見せた
『っ…』
その傷は今も生々しく跡が残っていた…
「…この傷が、そのときのものです…」
「俺が刺された後に、母親が帰ってきて俺と瑠依は病院へ運ばれたんです…」
『男は…?』
「俺を刺したあと…走って家を出て行って、それきり帰って来ませんでした…」
「俺は…刺し傷が深く危ない状況でしたけど、奇跡的に一命を取り留めたんです…でも…」
「瑠依は…出血が酷くて…運ばれたときにはもう…」
健堵は、拳をにぎりしめ苦しそうな表情だった
「俺が…俺がもっと早く助けていれば…」
『健堵…お前は弟を助けたじゃないか?』
「でもっ…」
『お前は、よくやったよ…』
「…それからは、俺はあの男を捜す為に夜の街に出るようになったんです…」
「そしてある夜、男を捜して街を歩いていたら変な奴らに絡まれて、見つからない苛々もあって、そのとき初めて喧嘩したんです…」
「けど、絡んできた相手は弱くて俺が勝ったんです…その喧嘩を見てた硲蓮が声をかけてきたんです…」
「仲間に入らないか?って…でも俺は男を捜さなくちゃいけないと、断ったんです…」
