『健堵…』
俺が思わず声をかけると、涙を拭き大丈夫っと言って深呼吸をした
『泣いてもいいんだ…今まで我慢してきたんだろ?ちゃんと聞いてっから…』
「海里っ…」
『大丈夫…ゆっくりでいい。』
「っ…」
「その紙はっ…瑠依の…多額の保険額がっ…書いた…紙だったんですっ…」
『はっ…?』
「男はっ…その紙を指差しながら…瑠依に笑って言ったんだ…」
「借金が出来たからっ…死んでくれって…」
健堵は、涙を流しながら続けた
「そしたらっ…包丁を持って…瑠依をっ…俺の目の前でいきなり刺したんだっ…」
俺は健堵の言葉を聞き、一瞬理解出来なかった…
そして理解したとき、俺は無意識に健堵を抱きしめた
『健堵っ…ごめん…』
「海里…っ…なんで謝るんですか?」
『っ…健堵…お前は一人で抱え過ぎだ…』
それからしばらく、落ち着くまで涙を流している健堵の背中を摩っていた
「海里、ありがとうございます…落ち着きました。」
『話せるのか…?』
「はい、大丈夫です…」
『そっか、泣きたくなったら泣け…溜め込むな…』
