最強で最高だったあいつ

『あぁ…由輝、いいのか?』


「はい、フッ…なんだか胸が痛いですね…」


由輝は、苦しそうに笑いながら部屋を出て行った


由輝が、部屋から居なくなり部屋の中には俯いたままの健堵と俺と静寂だけが残っていた



『…健堵、ちょっと昔話していいか?』





俺が声をかけると、健堵は一瞬ビクッっと肩を震わせたが、ゆっくりと頷いた


『昔さ…まだ銀瑠が出来立ての時に幹部にある男が加わったんだ。』


『その男はさ、いつもクールでいつも敬語を使ってて、真面目そうに見えて美形なくせに、すっごい喧嘩強いやつだった。』

「えっ…それって…」


健堵は誰のことを、話してるかわかったんだろう


俺は、そんな健堵を手で制して話しを続けた


『昔と今とで違うのは、初めて会ったときのそいつの瞳は死んでた…』


「っ…」


『んで、その男はさ…銀瑠をあんまりよく思ってなかったチームの幹部だった。』


『まぁ、簡単に言えば銀瑠を潰す為のスパイってとこかな…』




『俺達銀瑠はさ、メンバー全員初めて会ったときに、そいつが敵対してるチームの幹部だって知ってたんだよな~』


俺が笑いながら言うと、驚いた表情で健堵が見てきた


『でさ、俺そいつの悪いところしか知らなくてさ、良いところ見つけてやろうって思って…そのままにして普通に接したりしてた。』


『そしたらさ、日が経つにつれて良いところいっぱい見つけれて…他のメンバーも本当の仲間のように接してた。』



『銀瑠に入って一ヶ月くらい経ったときにはもう、そいつの瞳は死んでなかった。むしろ輝いてたよ…』