最強で最高だったあいつ

【…俺はわかるなんて、一言も言ってない。むしろわかりたくもない。…】


前も同じこと言われたよ…


お前はあの頃と、全然変わらないんだな…


俺はあの日、イライラしてた

そしてぶつかって文句言ってきた、チンピラをボコボコに意識がなくなるまで殴ってた


そしたらいきなり、お前の声が聞こえたんだ



俺はあの時、お前の声だけで恐怖を感じた



だが俺は、それを悟られないように低い声を出した


けどお前は全く動じず、呑気な声で話し掛けてきた


俺はまたイライラして、チンピラを殴った


すると、お前は呑気な感じではなく、真剣な声色で話し掛けてきた


「…お前、何に怯えてる?」


あの時の俺は、自分の存在を確かめるために喧嘩をしていた


まるでそのことを知ってるような…そんな感じの話し方だった


『お前に、なにがわかる…』

そう聞くと、お前はあの言葉を言ったんだ




俺は、お前の姿を確認しようと声が聞こえる方へ目を向けた



そして…暗闇から現れた


初めて会ったときのお前は、今より背が低くまだ幼さが残る顔だった


でも、瞳は今と同じ真っ直ぐで怖いくらい綺麗だった


俺と瞳があったお前は

『無駄な喧嘩なんか、絶対にするんじゃねぇ。…喧嘩するなら自分の大切なもん見つけて、それを守るために喧嘩しろ。』


と言った…