最強で最高だったあいつ


「あいつ…ほんとすげぇよな…」

そう言った竜也さんは、空を静かに見上げた



「あんな奴っ…もう一生出会えねぇよ…」



「銀瑠の奴らはみんな、海里に救われた奴ばっかだ…」



「あいつには、ほんといろんなこと教わったよっ…」



「家族のこととか…仲間の存在とか…喧嘩の意味とか…上げてったらキリねぇくらい…」



竜也さんが空を見上げながら黙ると、暃鈩さんと将斗さんが話し始めた



「海里って…不思議な存在だったよね…」



「あぁ…なんかあいつがいると和むよな…」



「うん…海里の腕の中、安心する…」



「海里の香りっつうか…海里に関わるものは、よくわかんねぇけど…なんか安心しちまうんだよなぁ…」



「うん…海里が白蓮を信じてるなら、俺も信じてみようって思えるんだ…」




2人は竜也さんと同じように、空を見ていた



俺達も自然に空を見上げていた


「海里が残したものを…絶対に忘れちゃならねぇ…伝え続けるんだ…」



「…海里がやってきたことに、意味があると思うから…」



「俺達…これからどうなるんだろうな…」



それからは、誰一人喋らずに屋上をあとにした



屋上から出るとき見た…最後の夕日は、俺達の背中を押してくれたような気がした