健堵はまだ目に涙を溜めていて、涙を流すことを耐えているようだった


おそらく今の電話は由輝さんからだろう


多分警察が到着する前に、病院に来いと言ってきたんだろう


『あぁ…わかった。』


俺と健堵の会話を聞き、気づいた周りは誰も声を発せずに、涙を流しながらバイクを置いた場所に移動していった


そんな奴らを見て、改めて海里の人望の厚さを目の当たりにさせられた







それぞれ銀瑠メンバー達が病院に向かって行ったが、硲達白蓮メンバー達は今だ一歩も動いていなかった


『おい…行かねぇのか?』


俺がバイクに跨がりながら聞くと、硲が尚人を支えながら立ち上がった


「俺達が…白蓮が行ってもいいのか?俺達はっ…敵だ…」


『…』


「俺は…合わせる顔がねぇ…」


尚人は震える拳を握りしめて俯いていた


『お前ら、海里のダチじゃねぇのか…?海里の話し聞いてなかったのかよ?』


「っ…でも」


『…あいつ、自分を刺したお前を恨んでるように見えたか?…ちげぇだろ…』


俺は静寂な空気のなか話し続けた


『…それに、あいつ言ってた…自分に少しでも関わった奴は皆ダチなんだって…』







『正直俺は今、お前らが憎くてたまんねぇ…今すぐにでも殴り殺してぇ…』


『だがな、あいつは…海里は、んなこと望んでねぇって思うんだよ…』