海里が病院に運ばれてもなお、俺達はその場から動くことが出来ないでいた


救急車には、竜也さん達が付き添って乗って行った


白蓮メンバーも、銀瑠メンバー達もみんな俯き静かに涙を流していた


「俺の…せいだっ…」


座り込んで泣いていた尚人が、突然立ち上がり言葉を吐き出した


「俺がっ…俺が海里さんを…」

「ナオっ!!!…落ち着け。」


硲はそう言った尚人の肩に震える手を置き、涙をこらえて言い聞かせていた


俺達は、そんな2人を見ていて何も言えなかった


もし…海里が居たら、何て声をかけていたんだろう


もし…海里が居たら、どう行動するんだろう


俺は、まだどこか現実を受け入れることが出来なくて、海里が生きていたらと考えてしまった





「海里っ…さん…うっ…」


近くに居た隼が泣きながら、俺にくっついてきた


『隼…』


「兄さん…うっ…いやだよぉ…」

俺は胸が張り裂けそうで、何も言えずただ隼を抱きしめ返すことしかできなかった


そのとき、健堵の携帯の無機質な音が鳴った


会話が終わった健堵は、俺に声をかけてきた


「絖稀…」