最強で最高だったあいつ

『てめぇの事情だけでな…仲間傷つけるようなこと…二度とすんじゃねぇ…』


「…わかんねぇんだよっ!!!」


硲は涙をためながら、叫ぶように言った


『硲…俺を見ろ。』


俺は胸倉から手を離し、硲の肩に手を置いた


『今をちゃんと見ろ…』


俺が真っ直ぐ目をそらさずに、言うと硲の瞳から透き通った綺麗な涙が頬をつたった


「俺は…」


「まったく…たいしたことない総長だな~」


硲が何かを、言おうと口を開きかけたとき一週間前に、電話で聞いた呑気な声が聞こえた


「蓮…銀瑠潰すんじゃないの?」

「俺は…」


「あ~あ…簡単に洗脳されちゃってさ…」


そう言葉にしている奴の声は、震えていた






「…銀瑠潰して一緒にNo.1なろうって…そう言ったじゃねぇかよっ!?」


「ナオ、落ち着け…」


「結局…蓮も今までの奴と同じように俺を捨てんのかよっ!?」


1人、取り乱しているNo.2の尚人を落ち着かせようと、硲が立ち上がり近寄ろうとしたとき、奴の手にキラリと光ったものが見えた


『硲っ!!!っ…!!!』


俺は咄嗟に硲を背中に隠し、小柄な奴を包みこんだ


その瞬間、腹部に猛烈な痛みが走った


俺の腕の中で震えて居る奴はそのまま膝から崩れたので、俺も地面に崩れた


「海里さんっ!!!」