玄関まで歩いて行くと、着物を着た綺麗な女の人が立っていた
その人は、隼を見つけると瞳を鋭くさせ隼に冷たい声をかけた
「隼。門限破るとはどういうこと?連絡もよこさないで。前にも一度言ったわよね?どうして守れないの?そんな子に育てた覚えはないわ。」
女の人は、俺に気づかず隼に棘のある言い方で責めていた
隼の手は震え、どんどん冷たくなり小さな泣き声が聞こえてきた
なおも女の人は、隼を責めたてている
そして1番言ってはいけない言葉を当たり前のように言った
「隼、聞いているの?ハア…あなたなんか産まなきゃ良かったわ。居なくなってしまえばいいのに。隼なんて要らないのよ。」
それを聞いて、隼は何も言い返さなかった
それを聞いた瞬間、俺の中で何かがキレた…
『…おい。今なんて言った?』
俺は低く、でもはっきりと威圧的な声を出した
そのとき、女の人は俺を見て驚き次の瞬間甘い猫撫で声で話し掛けてきた
「あらッ!!!どちら様かしらぁ?上がっていかない?あなたみたいな格好いい方、初めて見たわぁ~。今日主人居ないし、私の相手してくれないかしら?」
そんなことを言いながら、上目使いしながらベタベタ触ってきた
隼はそれを見て、俺の手を震えながらもしっかりと握ってきた
俺は隼の手を握り返し、優しく微笑んだ
そして女の人に瞳を移し、冷たく軽蔑の眼差しを向け低い醒めた声で話しかけた
『さっきの隼に何て言った…?産まなきゃ良かった?要らないだって?』
俺の醒めた声を聞き、ビクッと体を強張らせ、女は俺に弁解を始めた
「えっ…?あ、あれは冗談に決まってるでしょ?そ、それに、門限を守らなかった隼が悪いのよ!!!いつも迷惑ばっかり私にかけるのよ!?だ、だから、あそこまで言われてもしょうがないのよ!?」
『隼は、要らない奴じゃない。素直で優しい奴だ。そんな隼を、ここまで傷つけて…』
「な、なによ!!!私は隼の母親なのよ!?私が隼をどう言ったって勝手でしょ!?」
『…なら、あんたは母親失格だ。あんたさっき隼を要らないって、言ったよな?』
