「始めるぞ…」


するといきなり硲が、俺に殴りかかってきて、それを合図に乱闘が始まった


俺に殴りかかってくる硲は、やはり俺に何かを重ねて見ているような…そんな感じがした



乱闘が始まって早くも、2時間が経とうとしたとき、硲の動きが止まった


まわりは、喧嘩に夢中になっているのか俺達に気づいていないようだった





するといきなり硲が、小さく声を発した


「なんで、ずっと避けてばっかで攻撃しないんだよ…」


硲が殴りかかってきてから、今までずっと、俺は攻撃を避けるだけで一発も攻撃しなかった


おそらく硲は、そのことを言っているんだろう


『…』


「なぁ…答えろよ…あんな余裕で避けれんのに、一発も打ってこねぇのおかしいだろ…?」


『硲…』


俯いた顔をあげたときの、硲の瞳は怒りと悲しみの色に染まっていた


「てめぇ…なんなんだよっ!?」


そう硲が、叫ぶとまわりはみんな喧嘩の手を止めて、俺達2人を見守っているようだった







『硲…お前が俺に重ねて、見ている奴は誰だ?』



俺が硲に小さく問いかけると、白蓮メンバーみんなの顔色が少し変わった


「あ?…俺が見てるのはお前…」

『俺じゃねぇ…』


「何言ってんだよ…」