ウィーン ウィーン と耳の鼓膜が破れそうな音で

サイレンが鳴り響いた。  


「調理室で火事が!!!」 

慌てたウエイトレスが混乱している。 

彼女も混乱していた。 

俺は彼女の頭をそっとなでた。

が、俺も何が起こったか分からなかった。

調理室ならぬ客席にまで火は向かってきている。 

周囲のざわめきがより一層俺を焦らせた。


その時、自分の力を思い出した。  

今水を出すことができたら、火を止められるのではないだろうか。

これを止められるのは自分しかいないのではないだろうか。 

暗闇にわずかな光が見えた気がした。