「ムカつく……この問題まったく解けねぇし。」
その肝心の尾田クンは穴が空くほど参考書を睨んでた。
「へぇー。人の勉強見てるほど余裕があるとでも?」
「紗耶香……神経質になりすぎだってば。」
「……フハハハッ。君たち。随分と見苦しいね。」
真子に注意されていると突然知らない人の声がした。
見苦しい?
私たちはそろって声のした方を見てみた。目に映ったのは同じクラスの男子生徒だった。独特な変な笑いでこちらに近づいてくる。
「あぁ?漆原じゃんか。」
「うるしばら?」
「一昨年さ同じクラスだった……まぁそれは濃いキャラの持ち主と言いますか……」
尾田クンがみんなに耳打ちで説明をする。
「否定できないね……」
確かに初対面の印象よろしくないかも?
「んで?何か用?突然話し掛けてきて。」
「僕は君じゃなくて倉橋さんたちに用事があるんだ。」
特有な笑い方で悠長に話をする漆原クン。そのしゃべり方凄くうっとしいんですけど……何かしらかなり上から目線だし。貴族キャラって言うのか。
「私たち?」
「そう!僕は吉野と倉橋さんに申したいことがあるッ!」
「声。デカイ…下げて。」
吉野クンが冷たく単語で漆原クンに注意する。
さっきから漆原クンの声は大きくてちょくちょくクラスの人たちが見てきて恥ずかしい。
「失礼。」
「んで?何の用事なの?」
尾田クンが机に寄りかかって質問をする。
