「な…に?」
私が真子に呼び掛けたら真子は私の名前を強く呼んだ。
「ちょっと…トイレ行ってくる。」
目も合わせてくれないまま真子は教室を出ていった。
理科の授業と引き替えにせっかく考えた作戦は大失敗だった。と言うか何も行動すら出来なかった。戦う前に負けた感じがして悔しさが倍増した。
さらに心の半分をしめている不安が高まる。
私も行くよ!
そう言えば良かったじゃん…それでトイレに向かう行きか教室に帰る時に今の想いを伝えれば作戦大成功じゃんか。
今から追い掛ける?私も行きたくなったとか理由述べて……
色々考えたけど実際は一つも行動に移せなかった。
辛い……この想いはどうしてこんなに伝えることが難しいの?
私は真子を想っているのに。尾田クンのことだって……
ちらりと尾田クンの方を見てみると私に背を向けて吉野クンたちと話している。
相変わらず吉野クンは子供の様な笑顔をしていた。
「…。」
それに比べて自分は今どんな顔をしているんだろう?尾田クンたちの方を向いたとたん悲しくなった。
きっと暗いオーラーがバンバン出でいるんだろうな……
「ふふッ……」
ほんの少しだけ唇がゆるむ。
私。笑えないよ……
